貯蓄型保険解説シリーズの最終回(第3回)です。 第1回・第2回では、仕組みと、元本割れ・低い利回り・インフレといった落とし穴を解説しました。 最終回では、近年とくに勧められることが多い外貨建て・変額タイプのリスクと、 「保険は保険、貯蓄は貯蓄」で分けて考える視点、契約前後のチェックリストをまとめます。
外貨建て保険|「高い利率」の裏に為替リスクがある
「日本より金利の高い米ドルなどで運用するので、予定利率が高いです」と勧められるのが外貨建て保険です。利率の数字だけ見ると魅力的ですが、注意点があります。
- 受け取るときの為替レート次第で、円に戻したときの金額が増えも減りもする
- 円高のタイミングで受け取ると、外貨ベースでは増えていても円では元本割れすることがある
- 保険料を払うときや受け取るときに、為替手数料がかかる
「利率が高い」ことと「円で増える」ことは別であり、 為替リスクを自分で引き受けている、という点を理解しておく必要があります。
変額保険|運用成績で受取額が変わる
変額保険は、払った保険料を株式や債券などで運用し、 その成績によって将来の受取額や解約返戻金が変動するタイプです。
- 運用がうまくいけば増えるが、うまくいかなければ元本割れする
- 保険の中で運用するため、保険関係の費用が別途かかり、その分リターンが目減りしやすい
- 「保険」と「投資」が一体化しているため、コストの内訳が見えにくい
注意
外貨建て・変額保険は「貯蓄」というより投資に近い性質を持っています。 「元本保証ではない」ことを理解しないまま、貯金の延長のつもりで契約すると、 受け取り時に「思っていたより少ない」と感じる可能性があります。 リスクの説明をどこまで受けたか、契約前に必ず確認しましょう。
「保険は保険、貯蓄は貯蓄」で分けて考える
貯蓄型保険を検討するときに役立つのが、保障と資産形成を切り離して比べてみる視点です。 一つの考え方として、次のような比較があります。
- 貯蓄型保険一本保障と貯蓄がセット。手軽だが、コストの内訳が見えにくく、途中解約に弱い
- 掛け捨て保険+自分で貯蓄・投資安い掛け捨てで必要な保障を確保し、浮いたお金を貯金やNISAなどで運用する。 手間はかかるが、保障と資産形成をそれぞれ最適化しやすい
どちらが良いかは、その人の性格や状況によって変わります。 大切なのは、「貯蓄型一本」しか選択肢がないわけではないと知ったうえで、 比較して選ぶことです。
契約前に必ず確認したいチェックリスト
- 何年で「払った総額」を解約返戻金が上回るのか(元本割れの期間)
- 満了まで保険料を払い続けられる見通しが、本当に立っているか
- 「返戻率○○%」は何年かけての数字か。年あたりの利回りに直すと何%か
- 外貨建ての場合、為替手数料と、円高時に元本割れする可能性を理解しているか
- 変額の場合、元本保証ではないこと・別途かかる費用を理解しているか
- 同じ保障を「掛け捨て保険+自分で貯蓄」にした場合と比較したか
- その場で契約せず、設計書を持ち帰って家族や第三者に相談したか
契約してしまった後でも|クーリングオフという制度
保険契約は、原則として申込日または契約内容を記した書面を受け取った日のうち、 遅い日から8日以内であれば、クーリングオフ(申込みの撤回)ができる場合があります。 「契約したけれど、よく考えると不安」という場合は、期間内に手続きを検討しましょう。 訪問販売などほかの契約のクーリングオフについては、「リフォーム訪問販売に注意」の記事でも触れています。
まとめ|「増える」より先に「いつでも引き出せるか」を考える
- 外貨建ては為替リスク、変額は運用リスクがあり、どちらも元本保証ではない
- 「保険は保険、貯蓄は貯蓄」で分け、掛け捨て+自分で貯蓄と比較してみる
- 元本割れの期間と、満了まで払い続けられるかを必ず確認する
- その場で契約せず、設計書を持ち帰って家族や第三者に相談する
困ったときの相談窓口
保険の勧誘や契約で不安を感じたら、契約前に一度立ち止まりましょう。 契約内容のトラブルは、お住まいの自治体の窓口や、 消費生活センター(全国共通「188」)に相談できます。 保険の設計書・契約内容のわかる書類を手元に用意して相談するとスムーズです。
この記事はシリーズ全3回の第3回です
- 第1回 仕組みと、強く勧められる理由
- 第2回 元本割れ・低い利回り・インフレの落とし穴
- 第3回 外貨建て・変額のリスクと契約前チェックリスト(この記事)