ワンルームマンション投資解説シリーズの最終回(第3回)です。 第1回・第2回では、勧誘のされ方や、毎月の収支がマイナスになりやすい仕組みを解説しました。 最終回では、「やめたい」と思ったときに実際に売却できるのかという「出口」の現実と、 追加の勧誘への注意点、契約前のチェックリストをまとめます。
購入直後から、資産価値は大きく下がりやすい
新築のワンルームマンションの販売価格には、建物そのものの価値だけでなく、広告費や販売会社の利益(営業経費)が上乗せされているのが一般的です。 そのため、購入した直後に売却しようとしても、同じ価格で売れることはほとんどなく、購入価格より大きく下がった金額が 市場での評価額になることが少なくありません。
「資産になります」という説明を受けて購入しても、 その「資産」の市場での価値は、購入した時点から既に下がっている、という状態が起こりやすいのです。
「オーバーローン」|売っても、ローンが残ってしまう
購入時にほぼ全額をローンで組んでいる場合、 ローンの残高が減っていくスピードよりも、物件の市場価値が下がるスピードのほうが速いと、「売却価格 < ローン残高」という状態(オーバーローン)になります。
- 物件を売却しても、受け取った金額でローンを完済できない
- 不足分を、預金などの自己資金から追加で支払う必要がある
- 自己資金を用意できない場合、売りたくても売れない状態が続く
注意
「いつでも売れます」という説明を受けていても、「今売ったら、いくらで売れて、ローンはいくら残るのか」を 購入前に試算してもらいましょう。 試算を渋られたり、「将来のことなのでわからない」とだけ説明される場合は、 慎重に検討する必要があります。
「もう一部屋いかがですか」という追加の勧誘に注意
最初の1部屋を購入した後、「順調にいっていますね。2部屋目もいかがですか」という形で、追加の物件を勧められることがあります。
- 1部屋目の収支がまだ赤字(税金が戻ってきている)段階では、表面的に「順調」に見えやすい
- 複数の部屋を持つと、ローンの総額・毎月の持ち出しの可能性も増える
- 1部屋目を売りたくても売れない状態のまま、2部屋目・3部屋目を持つことになるケースもある
1部屋目の本当の収支(第2回で解説した「持ち出し」の有無)を確認できていないうちに、 追加の契約を急がれた場合は、一度持ち帰って、家族や第三者に相談しましょう。
契約前に必ず確認したいチェックリスト
- 毎月の「家賃収入 −(ローン返済 + 管理費 + 修繕積立金)」がマイナスになる可能性はあるか
- 家賃保証(サブリース)がある場合、保証額の見直し・解約の条件はどうなっているか
- 修繕積立金は、今後どのように増額される予定か(長期修繕計画があるか)
- 「税金が戻る」という説明は、何年目まで・いくらの効果なのか
- 今、この物件を売却した場合、売却価格とローン残高はそれぞれいくらになるか
- その場で契約せず、契約書を持ち帰って家族や第三者に確認したか
ワンルーム投資だけが「持ち家」のリスクではない
ここまで見てきたワンルームマンション投資は「投資用」の物件ですが、 自分が住むための「持ち家」にも、ローン完済後の固定資産税や修繕費など、別のリスクがあります。 持ち家全般のリスクについては、「持ち家にもリスクがある?」のシリーズでも解説していますので、あわせてご覧ください。
まとめ|「資産形成」の前に「収支」と「出口」を確認する
- 新築ワンルームの資産価値は、購入直後から下がりやすい
- ローンの残高が物件の価値を上回る「オーバーローン」になると、売るに売れない状態になる
- 「もう一部屋」という追加勧誘は、1部屋目の本当の収支を確認してから判断する
- その場で契約せず、必ず持ち帰って家族や第三者に相談する
困ったときの相談窓口
ワンルームマンション投資の勧誘や契約で不安を感じたら、契約前に一度立ち止まりましょう。 契約内容のトラブルは、お住まいの自治体の窓口や、 消費生活センター(全国共通「188」)に相談できます。 契約書・シミュレーション資料を手元に用意して相談するとスムーズです。
この記事はシリーズ全3回の第3回です
- 第1回 仕組みと営業トークの裏側
- 第2回 「マイナス収支」になる理由
- 第3回 「出口」の現実と契約前チェックリスト(この記事)