貯蓄型保険解説シリーズの第2回です。 第1回では、貯蓄型保険の仕組みと、販売側が熱心に勧める背景(手数料の構造)を解説しました。 今回は、実際に契約したあとで「こんなはずでは」と感じやすい3つの落とし穴——途中解約での元本割れ・低い利回り・インフレへの弱さを見ていきます。
落とし穴①|途中で解約すると「元本割れ」しやすい
貯蓄型保険の最大の注意点は、契約してから一定期間内に解約すると、 払い込んだ保険料の総額よりも、戻ってくるお金(解約返戻金)が少なくなることです。 これを「元本割れ」といいます。
契約初期は、保険会社の経費(手数料)が先に差し引かれるため、 解約返戻金は払った額をかなり下回ります。 年数が経つにつれて返戻金は増えていきますが、 払った総額を上回るまでには多くの場合10年以上、商品によっては数十年かかります。
注意
「いざというときは解約してお金を引き出せる」と説明されても、 そのタイミングが早ければ元本割れする可能性が高くなります。 教育費・住宅購入・転職など、途中でまとまったお金が必要になる予定がある人は、 長期間お金が拘束されるこの仕組みが本当に合うのか、よく考える必要があります。
落とし穴②|「返戻率」と「実際の利回り」は別物
貯蓄型保険の説明では、よく「返戻率110%」のような数字が示されます。 これは「払った総額に対して、満期時に何%戻ってくるか」を表したものです。 一見すると「10%増えてお得」に見えますが、注意が必要です。
- その110%は、何年かけて達成されるのかが重要
- たとえば30年かけて110%なら、1年あたりの利回りはごくわずかになる
- 「総額で何%増えるか」と「年あたり何%で増えるか(利回り)」はまったく違う
長い年月をかけて少しだけ増える商品を、「○○%お得」という総額の表示だけで判断すると、 実際の増え方を過大評価してしまうことがあります。
落とし穴③|インフレ(物価上昇)に弱い
多くの貯蓄型保険は、契約時に将来受け取る金額(や予定利率)が固定されています。 そのため、契約後に物価が大きく上がると、受け取るお金の「実質的な価値」が目減りするおそれがあります。
たとえば「30年後に300万円受け取れる」契約でも、 その間に物価が上がっていれば、30年後の300万円で買えるものは、 今の300万円より少なくなっているかもしれません。 長期間お金を預ける商品だからこそ、インフレの影響を受けやすいという点は見落とされがちです。
「予定利率」は、契約した時点の水準で固定される
貯蓄型保険の増え方は「予定利率」によって決まりますが、 これは契約した時点の水準で、原則として満了まで固定されます。 低金利の時期に契約した商品は、その低い利率のまま長く続くことになります。 逆に、世の中の金利が上がっても、すでに契約した保険の利率は基本的に上がりません。
まとめ|「貯まる」の中身を数字で確認する
- 途中解約は元本割れしやすく、払った額を上回るまで長い年数がかかる
- 「返戻率○○%」は総額の表示。年あたりの利回りに直すとわずかなことが多い
- 受取額が固定されるため、インフレで実質的な価値が目減りするおそれがある
- 予定利率は契約時の水準で固定され、途中で上がることは基本的にない
次回(最終回)は、近年よく勧められる外貨建て・変額タイプのリスクと、 「保険は保険、貯蓄は貯蓄」で分けて考える視点、契約前のチェックリストをまとめます。
この記事はシリーズ全3回の第2回です
- 第1回 仕組みと、強く勧められる理由
- 第2回 元本割れ・低い利回り・インフレの落とし穴(この記事)
- 第3回 外貨建て・変額のリスクと契約前チェックリスト