ワンルームマンション投資解説シリーズの第2回です。 第1回では、勧誘が来やすい人の特徴と、「年金代わり」「税金が戻る」といった営業トークの仕組みを解説しました。 今回は、こうした物件で実際によく起きる「毎月の収支がマイナスになる(持ち出しが発生する)」仕組みを、 家賃保証・家賃相場・管理費の3つの面から見ていきます。
「家賃保証(サブリース)」は、ずっと同じ金額が続くわけではない
サブリース(家賃保証)契約の多くは、「2年ごと」など一定期間ごとに保証額を見直すという条項が契約書に含まれています。 契約した当初の家賃保証額がそのまま続くとは限らず、 周辺の家賃相場や物件の状況に応じて、保証額が引き下げられることがあります。
- 「家賃保証」という言葉から、契約時の金額が一生変わらないと思い込んでしまう
- 実際には数年ごとの見直しで、保証額が下がっていく
- サブリース会社の経営状況によっては、保証自体が打ち切られるケースもある
注意
サブリース契約は、賃貸借契約とは異なるルールが適用される場合があります。 「家賃保証」という言葉だけで判断せず、契約書の「見直し」「変更」「解約」に関する条項を必ず確認しましょう。 わかりにくい場合は、契約前に第三者(弁護士や消費生活センターなど)に確認することをおすすめします。
「新築プレミアム」は、入居者が一度入れ替わると剥がれる
新築のワンルームマンションは、新築であること自体に高い価値がつき、 家賃も周辺の中古物件より高めに設定される傾向があります。 これを「新築プレミアム」と呼ぶことがあります。
しかし、最初の入居者が退去して新しい入居者を募集する段階になると、 その物件はもう「新築」ではなく「中古」として扱われます。 その結果、家賃を周辺の中古物件の相場に合わせて下げざるを得なくなることが多く、 購入時に説明された想定家賃よりも、実際の家賃収入が下がってしまうケースがあります。
管理費・修繕積立金は、年々上がっていくのが一般的
マンションを所有していると、毎月「管理費」と「修繕積立金」を支払う必要があります。 このうち修繕積立金は、建物の老朽化に応じて、数年おきに増額されるのが一般的です。
- 外壁の補修や屋上の防水など、大規模修繕のたびに積立金が値上げされる
- エレベーターの交換など、まとまった費用が必要になると「一時金」を求められることもある
- 購入時の説明では「現在の」管理費・修繕積立金しか示されないことが多い
「持ち出し」が発生する仕組み
以上の3つ(家賃保証額の見直し、家賃相場の下落、管理費・修繕積立金の上昇)が重なると、 次のような状態になりやすくなります。
- 家賃収入(または保証額)が、購入当初の想定よりも下がっていく
- 一方で、管理費・修繕積立金は上がっていく
- ローンの返済額は基本的に一定なので、「家賃収入 −(ローン返済 + 管理費 + 修繕積立金)」がマイナスになる
このマイナス分は、毎月の給与など、家賃以外の収入から補填(持ち出し)することになります。 第1回で説明した「税金が戻ってくる」分でこの持ち出しを相殺できると説明されることもありますが、 税金の還付は不動産の収支が赤字の年に限られる一時的なものであり、 年数が経つほど持ち出しの負担が重くなっていくケースが少なくありません。
注意
「ローンを払い終えれば家賃がそのまま収入になる」という説明は、その間、毎月の持ち出しがいくら発生する可能性があるかとセットで考える必要があります。 シミュレーションを見せられたら、「家賃が下がった場合」「修繕積立金が上がった場合」など、 条件を変えた場合の収支も計算してもらいましょう。
まとめ|「保証」「想定」という言葉の前提を確認する
- 家賃保証(サブリース)は、数年ごとの見直しで保証額が下がることがある
- 新築時の家賃は「新築プレミアム」が含まれており、入居者の入れ替わりで下がりやすい
- 管理費・修繕積立金は、築年数が経つほど上がっていくのが一般的
- これらが重なると、毎月の収支がマイナスになり、給与などからの「持ち出し」が発生する
次回(最終回)は、こうした物件を「やめたい」と思ったときに、実際に売却できるのか、 資産価値の現実と、契約前に確認しておきたいチェックリストをまとめます。
この記事はシリーズ全3回の第2回です
- 第1回 仕組みと営業トークの裏側
- 第2回 「マイナス収支」になる理由(この記事)
- 第3回 「出口」の現実と契約前チェックリスト